第163章 絶縁

福田祐衣はその音を聞き、本能的に顔を向けそうになったが、寸前で思いとどまった。

声の主はわかっている。

柏原堅太。彼女の名義上の父親だ。

柏原堅太の眼差しは冷徹だった。眼前の混乱を無関心そうに一瞥したが、その表情は一貫して重々しい。ただ、福田祐衣の傍らにいる宮本陽叶を認めた瞬間、その視線がわずかに揺らいだ。

だが、すぐに視線を外した。

「祐衣、もう騒ぐのはよせ。何があろうと、私たちは家族だ」

「今、弟の命がかかっているんだ。お前には彼を救う義務がある。それがお前の責任だ」

またその言葉か。柏原藍子よりもさらに居丈高で、理不尽だ。

聞き飽きたその台詞に、祐衣は怒る気力すら湧かず...

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